情報処理などの待ち行列(M/M/1)の計算は、次の3つの式を覚えればOK。
一番最後の式の3つの値が設問から求められれば、平均待ち時間 Tq は求まる。
利用率 ρ (ロー)
到着率 ɤ (ガンマ)
サービス時間 Ts
そして、ほとんどの問題は「Ts」は書かれている。
出題率が高いので、とりあえず直前に覚えておくこと。
以下は補足。
まず式が覚えにくいワケ
記号とその意味が分かりにくい。
Tq
Tw
Ts
これらは、「T」で始まるので、まず時間だとわかる。
次に、q、w、sはそれぞれ、
q Queue
w Wait
s Service
であろうから、
Tq 平均待ち時間(平均応答時間)
Tw 待ち時間
Ts サービス時間
というのは、まだわかりやすい。
問題は、
利用率 ρ (ロー)
到着率 ɤ (ガンマ)
平均サービス時間 μ (ミュー)
式だけ覚えていても、この記号の意味が分からないと解けない。。
平均サービス時間 μ について
平均サービス時間(μ)は、単位時間あたりにサービスを受けれる人の数と言える。
これは1人あたりにかかるサービス時間(Ts)の逆なので、
Ts = 1 / μ
となる。
ところで、「平均サービス時間」という言葉から、「単位時間あたりにサービスを受けれる人の数」を想像できるだろうか。
どちらかと言えば、平均サービス時間=Tsの平均ではないかと思えてしまう。
このため、このμは記憶から消してしまってよい。
(おそらく設問でも、この混同しやすい「平均サービス時間」という言葉は使われない)
次に、利用率 ρ について
1つの窓口がどれくらい利用されているか、という意味で、
例えば80%利用されていれば、ρ=0.8 となる。
120%利用されているという問題は出ない。この場合は、
ρ=1.2 となるが、窓口の処理能力を超えて、待ち行列は永遠に増え続けることになってしまう。
つまり、ρは0~1の間に収まっていなければならない。
ρは次の式でも表される。
ρ = ɤ ・ Ts
次に、到着率 ɤ について
ɤは簡単に言えば、単位時間あたりに何人来るか。
1時間に30人来るのであれば、秒に直すと、ɤ = 30/(60×60)となる。
サービス時間が60秒なら、Ts=60なので、
利用率 ρ = 30/(60×60) × 60 = 0.5 となる。
まとめると、ρ、ɤ、μ はそれぞれ利用率、到着率、平均サービス時間の意味であり、すべて「単位時間当たりの」利用率、到着率、サービス時間である。
μは「平均」サービス時間と記載されているので、利用率も到着率も「平均」と記載すべきだと思うが。。逆にμをρやɤに合わせて「平均」の記載を消すと、Tsと同じ「サービス時間」という訳になってしまい都合が悪いので、μだけ平均サービス時間としている気がする。
ρもɤもμも「平均」だと思ってよい。
そしてρを使った式の、Tw や Tq も単位時間当たりの「平均」である。
Tqは平均待ち時間と書かれているが、Twは待ち時間となっている。
どちらも平均では?と思うのだが、それだとTqもTwも同じ「平均待ち時間」になってしまうので、Twには「平均」と書いていない。。
この辺りが分かりづらくしていると思う。
しかしこんな場当たり的な事があるだろうか。 文系の人が作ったんでしょうか。
次に核心のρ/(1-ρ)について、そして平均待ち時間 Tq へ。
ρ/(1-ρ)が核心で、これが「窓口に平均的に既に待っている人」を表す。
(導き方については割愛)
つまり、
Tw = ρ/(1-ρ)・Ts
というのは、
待ち時間 = 既に待っている人 × サービスにかかる時間
を意味する。 これは分かりやすい。
そして、
Tq = Tw + Ts
というのは、
平均待ち時間 = 既に並んでいる人の待ち時間 + 自分のサービスにかかる時間
ということが分かる。
Tq = ( 既に並んでいる人 + 自分 ) × サービスにかかる時間
Tq = { ρ/(1-ρ)+1 } ・ Ts
と言ってもよい。
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