2018年1月14日日曜日

SDメモリカードのスピードはどれくらい必要か

SDメモリカードの規格とスピード、選び方

いろいろなサイトを見たがどれもしっくりとこない。

まとめていて分かった事は、製品を使ってもらいたい、売りたい、規格化団体として説明する、など、それぞれの視点で書かれた記事を、買う側の視点で整理し直す必要があるということ。これがしっくりこない理由かと。

目的

SDメモリカードを選ぶときは容量と読み書きの速度、値段で決めると思う。

このうち、「容量」と「値段」は数値のとおりなのでわかり易い。

だから以下については触れていない。

  • 何GBなら写真何枚分は保存可能、とか何分の動画が録画できるとか
  • どこのメーカが安いとか、どこの店が安いとか

速度について調べるとSDメモリカードの仕様として記載されている規格も一緒に調べなければならない。ここで少しハードルがあがる。

当然、データの読み書きは早い方が良いのだが、値段も上がってしまう。

では「最低どれくらいの速度が必要」なのか?という事を調べてみた。

ビデオ録画とカメラの連写、SDメモリカードの速度が必要なのはどちらか


一眼レフカメラなどの高速連写は、「連写が売り」なので、まずは連写できる完結した機構をカメラ自身で持っている必要がある。これはデータをまずカメラ内蔵のメモリに保存して、追っかけでSDメモリカードに保存する(バッファしている)という方法で解決している。

このためバッファを使い切るまではSDメモリカードの速度に関係なく連写可能である。
※実際には追っかけでSDメモリカードに保存しているので、速度の速いSDメモリカードのほうがバッファを使い切るまでの時間は長くなり、より多く連写できるというメリットがある。カメラによっては連写中は一切SDメモリカードに保存せず、連写終了後に保存を始めるものもある。この場合は連写枚数に差は出ないがバッファが回復するまでの時間に差がでる。

例えばソニーα9の高速連写は20枚/秒で、画素数が6000 x 4000(24MB)。
この場合は書き込み速度は480MB/s必要となる。
このような速度のSDメモリカードはない。
つまりカメラ内蔵のメモリによるバッファは必然である。

対してビデオは「録画が売り」なので容量を使い切るまで録画し続ける必要がある。このためSDメモリカードには録画し続ける速度が求められる。

このようにSDメモリカードに速度が求められるのはビデオ録画と言える。
これはカメラやスマホでの録画でも同じである。


「書き込み速度」を意識する

速度の記載に「データ速度」や「転送速度」と記載されているものが多い。これは読み込み速度を言っている可能性がある。

しかし利用者が気にするのはやはり「途切れずに録画できたか」「録画に失敗していないか」という点だ。

つまり速度については「書き込み速度」が重要だと言える。


書き込み速度の記載を確認すること


SDメモリカードを選定するための確認の順番

以下の順番となる。

  1. SDメモリカードを使う機器(一眼レフメラ、ビデオカメラ、スマホなど)の仕様を確認する
  2. 仕様と規格を照らし合わせる
  3. 書き込むデータ量がどれくらいか調べる(想定する)
  4. 仕様に合ったSDメモリカードで速度を満たすものを選ぶ
  5. (あとは「より速く、より安く、品質が高い」ものを選ぶ)

注意すべき点はより良いSDメモリカードを買っても、規格が合わないとパフォーマンスも出ないということ。

このため仕様の確認が一番最初になる。


1.仕様の確認

機器のマニュアルを参考にする。
しかし機器の発売から時間が経っている場合は最新の情報をメーカのホームページで確認した方がよい。SDメモリカードの対応表や動作確認について記載していることもある。


例えば「パナソニック デジタル4Kビデオカメラ HC-VX985M」のマニュアルには次のような記載がある。
赤枠の「Class10、Class4」といった記載がスピードクラス

2.仕様と規格を照らし合わせる

先ほどのスピードクラスはどういったものか、また他の表記方法はどういったものかを確認する。


この表から「Class10」は最低保証速度が10MB/sである。
つまり最低でも10MB/sの読み書きのスピードは出せるという意味である。

なお「スピードクラス」としては「Class10」以上の規格がない(2018/01現在)ので、今後は更に「UHSスピードクラス」や「ビデオスピードクラス」の併記が進むと思われる。

例えば同じ10MB/sであれば、

  • UHSスピードクラスではクラス「1」である
  • ビデオスピードクラスでは「V10」である


これらのマークが記載されたSDカードを選べばよい事がわかる。


SDカード上のスピードクラスの記載


スピードクラスが劣る製品を選ぶと録画に失敗したたり、写真のコマ落ちが起きてしまう。最低限スピードクラスを満たす製品を選ぶ必要がある。

では「より速いスピードクラスの製品なら何でもよいか」というと必ずしもそうでもない。

SDメモリカードは読み書きのスピードをより速くするために接点(インタフェース)を増やして対応している。これはバスインタフェースとして分類されている。


左がより速いUHS-Ⅱのバスインタフェース。
接点が多い。

このようにインタフェースが物理的に異なるので、SDメモリカードのスピードを上げても書き込む側(カメラなど)のインタフェースが対応していないと意味がなくなる。


バスインタフェースとは

ノーマルスピード、ハイスピードといった従来の仕様のほか、UHS規格によって分かれている。下記表のとおり、それぞれバススピードが異なる。

より速い速度のSDメモリカードはバススピードも速いものになっているが、前述のとおり書き込む側(カメラなど)が対応していないと全く意味がない。
これがSDメモリカードがより速いものなら良いかというと、そうでもない理由である。



バススピード欄に複数の記載があるのは「バス速度モード」の違いによる。
書き込む側(カメラなど)の機器がどのモードで動作させるかによって速度が変わるのでSDメモリカードとしては速い速度が記載されている方まで対応していると思ってよい。
わかりやすくは下記表のとおり。




バスインタフェースの記載の代わりにバス速度モードで記載されていることもある。
この一覧は次の通り。

WiKiより(HD312まで記載あり)
SDアソシエーションより(UHS-ⅢのUHS624まで記載)
横軸が速度(Throuput(MB/s))



これら情報はパッケージやSDメモリカードに記載されている。



例えば上記例では

  • バスインターフェースがUHS-Ⅰ
  • スピードクラスがClass10(UHSスピードクラス1)

ということがわかる。

ここで「Class10なら10MB/s、にもかかわらず転送速度95MB/sと記載されているのは何故?」という疑問が出るが、規格ではあくまで最低速度を保証しているので、製品によっては独自にそれらを記載しているようだ。

(この理由が「規格より細かく表示したい」ためか「発売当時まだ規格化されていなかった」ためか「最高速度を記載しただけであくまで最低速度は規格のとおり」なのかは不明)



3.書き込むデータ量がどれくらいか調べる(想定する)

SDメモリカードの速度が速ければ速いほうがよいのだが、比例して値段も高くなるはずである。

では実際、どれくらいの速度があればよいのかを調べる。

実はこれは一概に言うのが難しい。

理由は、例えば同じ画素数でも記録(撮影)モードが異なれば容量も変わる。この記録モードがメーカ、機種によって様々、複数あるためだ。

このため、まずは製品のマニュアルを参考にする必要がある。

例えばパナソニックのマニュアルには記録モードとその容量の記載がある。


上記の例では、「1080/50M」を選んだ場合、速度は50Mbpsと記載がある。

1MB/s=8Mbpsなので、10MB/sのClass10のSDメモリカードを購入すれば問題ないことがわかる。(10MB/s=80Mbps > 50Mbps)
※もう少し遅いスピードクラスでも問題ない計算ではあるが、最近はClass10以上のSDメモリカードが多いので割愛した。

一般的には画素数とその録画に必要な速度は下記のようである。



例えば「8K UHD」で録画する場合は、60fps(秒間60コマ)の場合は60MB/s、90fpsの場合は90MB/s必要といえる。


ビデオ録画の一般利用なら「4K UHD 60fps」で30MB/sもあれば十分だろう。

スマホやタブレットならおそらく10MB/sでも十分と思われる。
つまりClass10対応の製品を買っておけばよい。


4.仕様に合ったSDメモリカードで速度を満たすものを選ぶ

まとめると、

  • カメラの連写はカメラ内蔵のメモリにバッファされるので、SDメモリカードの速度はそれほど気にしなくてよい
  • まずは書き込む側の機器(ビデオやカメラ、スマホなど)の仕様を確認すること。速度の速いSDメモリカードを買っても意味がない可能性がある
  • バスインタフェースUHS-Ⅰ以下と比べてUHS-Ⅱ、Ⅲは物理的に異なる
  • 「4K UHD 60fps」で30MB/sもあれば十分
  • スマホやタブレットならおそらく10MB/s(Class10)でも十分


その他(まとまっていない事)


  • カメラのバッファを使い切るほど連写するならならビデオ録画したらどうでしょう。
  • UHS-Ⅱ、Ⅲは物理的に接点が多いが、このSDメモリカードをUHS-Ⅰの機器に挿して使うことは可能。ただし書き込み速度は落ちる。
  • microSDカードにアダプタをつけてSDカードとして利用する場合、速度低下する可能性があるか?これは無いと思っている。ただの接点なので。しかし前述のとおりUHS-Ⅱなど物理的に接点が異なる製品も存在するため、UHS-ⅡのmicroSDメモリカードをUHS-Ⅰのアダプタに挿せば速度低下する。これがうやむやになって伝わっているのでは。
  • データの書き込みは旧来からシーケンシャルアクセス、ランダムアクセスがある。一般的にはランダムアクセスに対応している。SDメモリカードが新品だったりフォーマット後はシーケンシャルのようにデータは頭から順に書き込まれていくので速い。しかし一部消去、再録画などを繰り返すとデータの書き込みは空いているところに書かれていくため少しずつ遅くなる。ハードディスクに比べるとメモリは書き込みが格段に速いためシーケンシャル的でもランダム的でもあまり気にはされていなかったが、本来はその差は大きい。バススピード規格の最低速度保証とメーカ独自記載の書き込み速度の違いは「ランダム的でも最低この速度は保証する」と「シーケンシャル的で最高の条件のときこの速度が出る」という違いの可能性もある。これは製品単体で検証しないと不明。






2018年1月13日土曜日

灯油ポンプの給油スピードが遅いので改良してみた


灯油ポンプの給油スピードが遅いので改良してみた


なぜ改良が必要だったか


電動式の灯油ポンプは乾電池で動作するものがほとんど。

乾電池が新しいうちは給油スピードも速いが、使っていくうちに電池が消耗して給油スピードも遅くなってしまう。

特に寒いと電池の能力の低下は著しい。

単一電池あるいは単二電池なら容量が多いのでそれほど気にならないかもしれない。
しかし単三電池だと顕著。

電池がもったいないが遅くなってきたら交換するのが手っ取り早いがエコではない。

エネループみたいな充電池を使えばエコではあるが、エネループは満充電でも電圧が低いのでそもそも遅い。

  • アルカリ、マンガンなどの乾電池:1.5V
  • エネループなどの充電池:1.2V

 ※充電池だと満充電していてもパワー不足


最初から単一あるいは単二電池で動作する給油ポンプを買えばよいのだが。

  • 単三電池モデルの灯油ポンプの方が(ちょっと)安い
  • 単一、単二電池はほとんど使わないので出来れば単三のほうがよい

といった理由で単三の灯油ポンプを買ってしまったりする。


きっと単三電池を3本使えるように改良すればうまくいくはずである。
が、充電も面倒ではある。

どう改良したか

注意:何か問題があっても自己責任です。

今回改良した灯油ポンプ(単三電池 2本直列使用)

工進 EP-305

灯油ポンプは単三電池を2本直列にしてモータを回しているので、モータの入力電圧は1.5Vx2=3V。

携帯の充電器の出力はだいたい5V。おそらくこれくらいの電圧ならモータは壊れないし、電圧が高いぶんモータの出力も上がる(=給油スピードがあがる)。

そこで、USBケーブルを乾電池の金具に半田付けして、USB給電によりモータの電源を確保することにした。



必要なもの
  • USBケーブル
  • 携帯用充電器、あるいはモバイルバッテリー



作り方

見てのとおりだが、USBケーブルを乾電池の金具に半田付けしている。

結線は絵のとおり、赤を乾電池の+側、黒を-側に接続するだけ。
緑と白は使わないので切ってしまってよい。

単三電池はイメージで書いた。
USB給電するなら電池を入れてはダメ。

細かいが、
乾電池でも使えるように乾電池のスペースは残しておいた。
電池ケースのフタに穴を開けて配線を先に通しておくこと。

USB給電のため電源側は汎用性が高い。
例えばいらないモバイルバッテリーでも動くと思う(未確認)。

結果

驚くほど早くなった。ストレスがない。


USB延長ケーブルかOAタップを灯油ポリタンクの近くまで引くのが面倒なので、モバイルバッテリーを使った方が更に楽かもしれない。近くに電源があれば気にならない。