2015年5月10日日曜日

ダイニーマ スリング kgfとかkNとか

ダイニーマ スリングの購入


先日ついにダイニーマ スリングを購入した。

雪山の稜線を歩くのでアックスビレイぐらいは必要に迫られる可能性はある。




強度22kNと書いてある。
確か、2t近い重さに耐えられるハズ。


自分の体重が70kg。
2tといったら必要十分に感じられる。


しかし次の実験の結果、

  • 体重80kg
  • 落下率1
  • ダイニーマ製ソウスリング60cm

衝撃値は1164kgf。つまり1tを超える。




単位について


まずは、馴染みのあるkgについて。


  • kgは質量を表す。


kgf(キログラムじゅう)について。


  • kgfは重量を表す。
  • 1[ kg ] の質量が標準重力加速度のもとで受ける重力の大きさと定義されている。
  • kg・m/s2

N(ニュートン)について。


  • SI単位系に換算された重量
  • 1 [ kgf ] = 9.8 [ N ]


地球上では 1[ kg ] = 1[ kgf ] = 9.8[ N ]


重量とは


  • 重量とは重力や慣性力の大きさである。
  • 「重力で量るもの」と誤解されかねないので、物理学では曖昧さを排除するため質量という表現を使う。

質量とは


  • 質量とは慣性質量と重力質量の2つがあるが等価である。
  • 質量の発生原理は分かっていない(ヒッグス機構などの説がある)。
  • 質量は重さとは異なる概念である。重力や引力が変わっても質量は同じである。






2015年5月4日月曜日

雪山でテント泊 2015年 GW 白馬乗鞍岳

3シーズンテントで雪山でテント泊をした


白馬乗鞍岳でテント泊。

本当は白馬大池に行く予定であったが、訳あって行けず。

退却してもロープウェイの営業時間に間に合わない可能性がでてきたので誰もいない山中でテント泊することになった。


当日は風もなく、テント内温度も12℃くらいあり、快適だった。寝るまでは。


装備
テント terranova LaserCompetition1 Tent
テラノバ レーザーコンペディション 1+フットプリント
シュラフ ドイター  アストロ -8
シュラフカバー なし(後悔)
マット MAGIC MOUNTAIN Ultra Light 120
ウェア(上) ダウン、フリース、長袖、半そで
ウェア(下) ズボン、タイツ、アンダー。靴下2枚

以下、イメージ。




テント設営場所を探す


本当はテント泊が可能で水場もある(はず)白馬大池に設営予定だったが、予定が狂ったので自分で場所を探す。
  • 風が弱い
  • 雪崩れに巻き込まれない
  • 傾斜があまりない(整地が楽)
ハイマツで風が防げる


特に重要なのは早めにテントを張ることだと思う。日が暮れる3時間前くらいには準備したい。

日が暮れてからではほとんどビバークに近い。


整地


まずは整地をする。

スコップがあれば便利なのだが、ひたすら足で踏み固めて整地する。

硬い雪が出てきたらピッケルで削るつもり。

テント1つ分を整地


テント設営



テントを傷つけないようにアイゼンを外してから行う。


グランドシートを広げて、テントを出す。

レーザーコンペディション1はインナーとフライがくっついているので設営は楽、と思いきや、インナーとフライがところどころで繋ぎあわされたような物であるため、とりあえず広げて途方にくれる。

慣れれば問題ないのだろうが。実際、途方にくれるが困りはしていない。



アルミペグを用いたがしばらくすると浮いてしまう。
やはり割り箸を持ってきて埋めるべきだったか。
仕方ないので近くの枯れた枝に紐を通して雪に埋めた。
翌朝は凍ってしまい、ピッケルで掘り起こす事になったが。
(写真は翌朝のもの)


あっと言う間、ではないがテント設営完了。
(中央の小さいやつ、アースカラーで目立たない)



テントの中に入ってみると、とても冷たい。

グランドシートとテントのペラペラの2枚を通して雪の冷たさが伝わってくる。

これは下から相当な冷気が伝わってきて眠れないに違いないと思ったが、エアマットを敷いてみると全く冷たくなくなった。さすがエアマット。

しかしエアマットがテントの底全体を覆っている訳でもないので、テント内は冷えることを覚悟する。




晩餐、そして、やる事がなくなる。


晩餐はカップラーメンと餅。質素なので写真はない。

カップラーメンのカップはそのまま食器として使えるし最後はゴミとして処理すればよいので気が楽。アルファ米は意外と高いので切り餅を使っている。

無印良品のカレー+餅も定番メニューだが、お米で食べたいという気持ちは否めない。我慢。

分かっていたことだが、食事を終えるとやることがなくなる。

水場がないので、雪から水を作るという暇つぶしをしてもよいのだが、おそらくガスをムダに使うだけだろう。必要になったらやることにする。念のため大きなビニール袋は持ってきている。

撮影して暇をつぶす。



白馬岳、など

日が暮れた。


夜中、背中が冷たい、動物が出る。


19:00頃には寝ただろうか。大分寝たので一度起きると、まだ21:00。
あと6時間近く暇である。

レーザーコンペディション1はダブルウォールで、片面がメッシュの3シーズンテント。
更に頭側と足側にも三角のメッシュの窓があり、こちらからも換気されている。

テントの構造上、結露はしにくいはずだが、それでもインナーテントにはうっすらと水蒸気が張り付いている。

テント内はまったく寒くない。日没時と同じくらいの12℃はありそうだ。
下から冷気があがってきて寒さに震えると思っていたが意外だった。


深夜、背中側に冷たさを感じる。


マットが濡れているわけではない。シュラフが吸湿して潰れてしまったせいで「グショッ」とした感じになっているようだ。

やや冷たいくらいの感じなので、朝までは持ちそうだった。

もともとは2泊の計画だったので、やはりシュラフカバーなしで2泊は厳しいと感じた

シュラフカバーに防水透湿性のあるタイベックは使えないかと考えていたこともあったが、タイベックの防水は圧がかかれば濡れる。背中側は圧がかかるので適さないかもしれない。

テント内で暇そうにしているのは自分以外ではツェルトのみ。このツェルトをゴアにしておけばシュラフカバーとしても使えたかもしれない。

遠くからハイマツの上を歩く足音が聞こえてくる。

足音、というと人のように思われるかもしれないが、二足歩行の足音である。

人が居るとは思えないのだが。慎重な足取りでゆっくりと移動している。

一度、足をとられていたが、やはり二足歩行の何かだと思う。鳥だろうか。だとしたらでかい。他に何が考えられるだろう。

歩くたびに必ず音がしている訳ではなさそうなので、4本足の可能性もあるにはある。
犬がいるのだろうか。白馬乗鞍岳に。

たまに別の場所からも音がするので2体以上いるかもしれない。

1体は左側を10m以上離れたところを通っている。テントに気づいたように一度立ち止まって様子を見ているような感じを受ける。

もう1体はテント右側のすぐ近くに来ているのを感じる。

なんだろう、音は聞こえないのだが、存在感はある。

フライをつついてくるだろうか。ダブルウォールでよかった。とりあえず相手を見てから体制を整えられる。

ポケットに入っていたペンとライトをそれぞれ両手に持つ。
寝る前にピッケルを出しておけばよかった。ザックに括りつけたままだ。

しかし逃げるとなると靴を履いてる余裕はない、雪面の上を靴下だけで逃げるか、あるいは対峙する事になる。きっと冷たい、厳しい。寒さ対策も兼ねて像足などを履いておくのは有効かもしれない

息を殺していたせいで鼓動が早まる。鼓動がシュラフに反射して外の音がよく聞こえない。
そんな状態で1,2分経過し、もう居ないことが分かった。

左手を通っていた一番音のおおきいヤツはもうとっくに通り過ぎたようだ。

やっと静寂が戻った。

落ち着きを取り戻す。

何度か考えては否定したが、霊的なものだったらイヤなのだが。
二足歩行で犬なみの重さのある夜行性の何か、ということにしておきたい。
しかしハイマツの上をまたぐような足取りで移動できる動物って人並みにでかいはずだが。

とりあえず一安心して深い眠りに落ちた。


実は道迷いの不安


実は道に迷っていた可能性があり、そういう意味では不安な一夜だった。

昨日の夜はいったん麓まで下りて白馬岳を挑戦してもよいし、このまま下山してもよいしということで、この場所にテントを張っているのだが、登ってくるときに見たハイマツ帯とは違うハイマツ帯にいるようだ。

しかし確信が持てなかった。

ハイマツ帯は見る方向、高さで違って見える。目印にすべきは岩や景色かもしれないが、岩も見る方向によっては変わってしまうし、風景は同一方向だと同じにしか見えない。

昨日は一日中、ハイマツの迷路にはまり込んでいたため、なるべく登ってきたときと同じルートを辿りたい。こんな目と鼻の先ぐらいの近場で道迷い遭難は恥ずかしい。

スマホを出してGoogleMapを起動、GPSで測位。

auの電波はつながらないがGPSなら問題ないだろう。

GoogleMapには乗鞍岳が表示されたままになっている。現在地が表示されれば助けにはなるはず。しかしなぜか現在地が表示されない。

地図ロイドを起動、こちらは残念ながら地図は読み込まれていなかった。

山旅ロガーを起動。昨日のログを地図ロイドに表示してみる。


※帰ってきてから出した画面なのでマップと帰りのルート(赤)も表示されている
青が昨日のログ、最後の→がテント設営地にあたる
(本来なら赤の→は青の→の終わりからスタートするのだがGPSが測位できていない)


このまま南下すれば天狗原に出れるという感覚でいたが、地図では天狗原からは西に向かっていたはずなので違和感があった。

ログを見て東に向かう必要があることがはっきりと分かった。


翌朝、テント撤収


道迷いの可能性があったので早めに行動しようと思っていたが、すでに06:00になっていた。

本来は朝食の準備だが、プラティパスの残りを飲料として残しておきたいので、朝はゼリー飲料のみで済ませる。2泊想定だったので食料には多少の余裕がある。

室内も結露

フライの内側は結露が凍ってシャーベット状になっている

靴も凍っている。
テント内で凍らせないようにすべきなのだろうが、濡れた靴を入れるのがイヤだった。
多少硬かったが履くことはできた。


昨日沸かした水の残りに薄氷がはっている。
氷点下までいったのか、地面の雪のせいで冷えたのか。


濡れたシュラフを濡れたまま詰め込むのはすごく気持ちが悪いが仕方がない。

荷物が多すぎて片付けるのに手間取ったが、外の天気が良いので、とりあえず外に出してしまうという事ができた。

ペグは抜けたが、枝を雪に埋めたほうは凍っていて、ピッケルで掘り起こす必要があった。
前日はそれほど硬くなかった雪が凍りのようになっていて意外だった。


風がないのも助かる。

このテントはペグを12本必要とするが、風に強いのかはよく分からない。
UL重視なので割りきって使う。

そういえばゴンドラに乗るには荷物の重量制限があり、ザックごと計量して15kgが上限。
今回はちょうど15kgだった。(両サイドのポケットにある水を抜いてだが)
ビールを買っている場合ではなかった。よかった。

グレゴリーz55
底にテントを留めている。位置的にはクローズドセルのマットなのだろうが。
なんとか残雪期2泊3日分は収まったが積雪期は無理だろう。
でもここまで頑張れるとは、よいザックだと思う。

各コードを引いていけば薄っぺらになり、
テントなどのデポ後にはアタックザックとしても使える。



今回は白馬岳は敗退したが、自分には雪中の2泊はまだムリがあったかもしれない。
いろいろと必要な事も分かった。

動物は怖い。できれば他の人の近くでテントを張ろう。
そうすれば足音も「隣の人」と言うことで片付けられる。

朝の白馬岳。
登った人は更によい景色を見れたことだろう。




2015年5月3日日曜日

白馬大雪渓 2015年 GW

白馬大雪渓 2015年 GW



白馬乗鞍岳から撮影。

大雪渓と言えば、なだらかな斜面を登っていく写真をよく目にする。


しかし実際はこんな感じ。

これでは雪崩れ、落石に遭ってもしょうがない気がする。





ここを登っていこうって思わないのだが。

普通の登山よりリスキーだ。



白馬岳 栂池ルート誤り 2015年 GW

白馬岳 栂池ルート誤り 2015年 GW



4月末から5月頭にかけて栂池から白馬大池経由、白馬岳を目指した。


登山計画


計画では白馬大池でテント泊、テントをデポ後、白馬岳をピストン、白馬大池で2泊目をして翌日下山。2泊3日の工程。

 1日目 栂池から白馬大池まで。白馬大池でテント泊
 2日目 白馬大池から白馬岳までをピストン。白馬大池でテント泊
 3日目 白馬大池から栂池へ下山


結論から言えばハイマツに邪魔されて白馬大池にすら辿り着けなかった。

膝下ぐらいまで潜りながら進むことを想定していたので、まさかハイマツに邪魔されるとは。


こんなことなら登山道(夏道)を調べておけばよかったのだが、白馬大池までは乗鞍岳方面へ好きなルートで行けばいいし、白馬大池からは稜線歩きなので道迷いもないだろうとタカをくくっていたのが災いした。


栂池から白馬大池までのルート考証


■ 国土地理院の地図


国土地理院の地図


初めて知ったが、右下の栂池ヒュッテあたりから天狗原、乗鞍岳まで延びている点線は登山道(徒歩道)だった。つまりこの点線に沿って進めばよい。

参考: 国土地理院 地図記号一覧


なんて初歩的な話しだろう。

この点線はGoogleMapには載っていない。



地図ロイドの「地形」を選択すればスマホからでも見れるが、電波が届かない場合は事前にキャッシュしておかないと見れない。(auは乗鞍岳ではつながらなかった)





■ 実際通ったルート(誤ったルート)


地図ロイドに山旅ロガーのログを重ね合わせた
青:1日目
赤:2日目


青の←が天狗原側から白馬大池側に一気に移動しているのは、ログが約1時間取れていなかった為だ。

いずれにせよ山頂付近では白馬大池に抜けるルートを探しながらハイマツに沿って西南へ移動したが、切れ目がなくて結局、反対斜面に抜けられなかった。

赤の→は2日目。ちょうどログを取り始めた辺りで白馬大池に通じるルートを発見。

朝08:00前だったので最チャレンジしてもよかったが、既に計画が崩れているので撤収をした。


■現地の写真





誤ったルート上で撮った写真は以下のとおり。

4で見えている登山道を通らないと突破不可能(だと思うよ)。
(5以降の写真は蛇足)


1.天狗原を越え、乗鞍岳中腹部まで


前方に乗鞍岳。

上方にはハイマツが帯状に広がっている




左端の先はどこまで続いているのか見えない。

右端へ迂回する。


2.ハイマツ右端

ハイマツの帯の右端を越えようとしているところ。

帰りに撮影したものだが昨日の朝は無かったと思う。
まるでクレバスのようになっている。
同様のものが船越ノ頭の麓辺りにもあったような気がする。



3.乗鞍岳山頂付近



ハイマツの帯を右に迂回したので、進路を左(西南)にとる。

左がさっきのハイマツの帯。右にもハイマツの帯が出現。

このまままっすぐ進み乗鞍岳山頂か船越ノ頭で右に曲がれば白馬大池と想定。
(方向は合っているが実際にはハイマツを抜けられない)


4.乗鞍岳山頂付近、北西のハイマツ


3の写真で右手に写っていたハイマツ。
一帯に広がっている。

しかしよく見ると岩の左手に登山者が2名。
白馬大池への登山道はここにあった。


この岩を目印にするべきなのだろうか。


以下は蛇足。

5.
ハイマツに囲まれた。
唯一突破できそうなところを抜けてみる

6.
上方に抜けれそうだが結局は抜けれない。
斜面で見えないだけでハイマツがつながっている。

7.
右手側


左手側

左手のやや下方
どうしても抜けられない。諦める。